桶ヶ谷沼と「とんぼのまち─磐田」
 桶ヶ谷沼は磐田市の東部、磐田原台地の東縁にある周囲1.7km、広さ約7.4haの沼です。多くの動植物が確認されており、なかでもトンボは65種、県内のトンボの2/3、国内の1/3の種類がここに生息しています。
 昭和60年頃から磐田市では、桶ヶ谷沼が貴重なまちの財産であり、これを守ることで日本一のまちづくりを進めようという気運が高まってきました。イベント開催等を通じて「桶ヶ谷沼」「とんぼのまち─磐田」が徐々に有名になり、沼の価値と市民の活動が広く認められるようになってきたとき、素晴らしい知らせがありました。桶ヶ谷沼保全のために約20億円が、平成元年度の静岡県予算に盛り込まれたのです。
 その後、桶ヶ谷沼とその周辺の用地取得が、地元の理解と協力をいただく中で進み、平成3年3月に桶ヶ谷沼は静岡県自然環境保全地域に指定されました。
 桶ヶ谷沼の保全に伴って、「とんぼのまち」の目指すものを考えるときがきました。世界に文化を発信し情操をはぐくむ活力あふれる快適な生活環境のまちの実現を、市民一人ひとりが力を合わせて目指すこと。「とんぼのまち─磐田」はこう表現できるのではないでしょうか。なぜなら、トンボをテーマにした様々な市民活動には、「磐田を単にトンボの楽園──桶ヶ谷沼があるまちでなく、より素晴らしいまちにしたい」という思いが込められているからです。磐田を、自分たちが住むふるさとを、「どうです素晴らしいまちでしょう」と胸を張って言えるようにするため、市民一人ひとりが力を合わせる必要があります。それぞれ取り組むテーマは違っても、目指すは素晴らしいまち「とんぼのまち─磐田」です。
 桶ヶ谷沼をめぐる様々な動きの中で、多くの人達の心に「ふるさと」への想いが高まってきました。桶ヶ谷沼は、潤いや安らぎ、心と心の通い合いなど多くの素晴らしい贈物を、これからも私たちに与え続けてくれることでしょう。