静岡新聞 夕刊 H15.5.2掲載記事
ネットで新市場 蚊帳リバイバル
静岡新聞の記事

21世紀・蚊帳の中の人間像を究明


どうぞ蚊帳の中へ
どうぞ蚊帳の中へ
磐田の寝具店 通販ヒットに新購入層の存在・・・・

鈴木正也教授

静岡産業大鈴木教授ら調査
生活の場から消えたはずの蚊帳は、なぜインターネットで爆発的に売れたのかー。
磐田市の小さな寝具店の成功の秘密を、地元の静岡産業大学経営学部の
鈴木正也教授(61)=写真=と市などがアンケート調査で追跡したところ、
「都市型余裕中年層」というべき新しいライフ差スタイルの階層の存在が浮かび上がった。生活の中の漠然とした不安を解消したいというこの階層の願望をインターネットがすくい上げ、新しい市場を生み出したらしい。鈴木教授は「地方の商店が活気を失っている中、工夫次第で再生の可能性があることを証明した」とみている。


 蚊帳ブームに火をつけたのは、同市中泉で寝具販売店菊屋を経営する三島治さん(46)。1997年からインターネットで蚊帳の販売を始めたところ、倍々ゲームで売り上げが伸び、初年の25はりから昨年は年間千はりを売り上げた。
 これに注目したのが三島さんとパソコンを通じて面識のあった鈴木教授。市の補助を受け、約千七百人の顧客のうちメールアドレスのある993人を対象に、昨年秋から今年二月にかけて購入層などを調べた。
 268人の有効回答を分析すると購入書の最大公約数的イメージは「20−40で都市近郊に一軒家を所有。自然環境を好み、よい商品なら多少高くても購入する」タイプで、購入動機も防虫対策だけでないことが判明した。

工夫次第、ニーズ発掘

 鈴木教授は、蚊帳を健康サプリメント商品などと同じ不安解消型商品と位置づけ「新しい階層が自ら積極的に不安を解消しようと蚊帳を購入した」と仮説を導いた。
 鈴木教授は「価値観の多様化がライフスタイルの多様化を生んだ。同じライフスタイルの人々は地域的に分散しているが、インターネットならひとつの集団になる。今後はライフスタイルに合った商品の提供が重要になる」と指摘している。

 調査結果は三島さんの著書「どうぞ蚊帳の中へー21世紀によみがえる不思議空間」
で紹介している。
問い合わせは三島さん<電0538(35)1666>へ



アドレスはhttp://www.anmin.com/kaya/



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